2018年10月07日

競技の方向が変わる時 キルビー VS スタム ONE KickBoxing アトム級タイトルマッチ 結果&ダイジェスト動画  キックボクシング女子

 KickBoxing

2018年10月6日(土)タイ バンコク
ONE KINGDOM OF HEROES

ONE Super Series キックボクシング アトム級タイトルマッチ 3分5R
王者 キルビー[チュアン・カイティン](台湾)
VS
挑戦者 スタム[スタンプ・フェアテックス](タイ)
แสตมป์ แฟร์เท็กซ์ VS ไค่ ถิง ฉวง

 むかし、J-Girlsさんが掴み全面禁止だった時、あまりにもレフリーがそれを厳しく取ったのでまったく試合にならない時期がありました。少し接触するとブレイク、いちいち両選手を引き離して再スタートですから、見てて面白く無いし、選手たちもやりにくそうでした。

 そんな時に現れたのがイタリアのシルビア・ラ・ノット〈シルビア・ラ・ノッテ〉選手。彼女も試合中に相手選手に接触してしまうことはあるのですが、レフリーに何か言われる前に自分から離れるのでそのまま試合は続きます。

 そのとき、実は彼女はワンタッチでうまく相手を押し引きしてコントロールしていたので、厳密に言えばJ-Girlsルール的には良く無いのかもしれませんが、瞬間のことなので問題になることもなく、流れるようにスムーズな試合が出来たのでした。そして、トーナメントの優勝を母国に持ち帰りました。

 お客さんからも選手からも彼女のファイトに賞賛こそあれ文句は出ない状態で、以降、J-Girlsさんでは彼女のファイトスタイルがスタンダードとなり、瞬間的な押し引きならレフリーもなにも言わないのが普通となりました。

 そしていまや、NJKFさんのミネルヴァや韓国のMAX FCさんなど多くの団体では、選手が接触状態になるとレフリーはなるべく割って入らないで「プッシュ」を命じて、お互いを押し離すように誘導しています。時代は変わったんですね。

 という昔話をなぜ持ち出したのかと言えば、きのうのONEのキックボクシングタイトルマッチでも、試合の運営の仕方が一試合でガラッと変わったのを見たからです。

 7月のタイトル決定戦の時、ボクシング出身のキルビー選手はムエタイのヨッドチェリー選手にパンチで打ち勝って王者となりました。

 その時、ヨッドチェリー選手が相手を投げるとレフリーは厳しく注意。組んでのヒザ蹴りには注意が無いので反則では無いようですが、2〜3発入れると必ずブレイクされるので、これも武器になりません。そうしてヨッドチェリー選手はムエタイのいい部分を封印されてパンチに負けたのです。

 さて、きのうのキルビー選手への挑戦者もムエタイのスタム選手。ですから、前回と同じ流れになるかと思われましたが・・違いました。

 スタム選手もいつものムエタイそのままに相手を投げて注意を受けますが、それでも組むのをやめませんでした。組んでもガッチリ投げないで、そのまま崩すのです。

 会場はバンコクですから、お客さんはムエタイの技に反応します。相手を崩す、足を払う、密着して後ろに回るというようなムエタイでの見せ場になると必ず大歓声。

 レフリーとしては瞬間的な崩しや、足払い、組んでのポジショニングをいちいち反則取るわけにもいきませんし、お客が湧いているということもあってか、そのままスタム選手の戦い方を黙認。キルビー選手は自分のペースをつかめないまま毎ラウンドのようにヒザ蹴りを受けてロストポイント。

 王者は防衛に失敗し、新王者スタム選手が誕生しました。

 スタム選手の戦い方はMMAでのローマ選手のスタイルにも似ていますね。

 スタム選手の(キックルールでは)斬新な戦い方をバンコクのお客さんが支持したからこそ勝利に結びついたわけですが、英語版の実況を聞いているとキルビー選手のパンチやバックハンドブローには「ナイスコンビネーション!」とか「ビューティフルスピニングバックフィスト!」などと当たってもいないのにいちいち反応するにもかかわらず、スタム選手のヒザ攻撃はほとんど無視(笑)。欧米人の中にはいまだにパンチしか見ない(見えない)ひとが多いというのが分かります。

 ですから、おそらくこの試合が香港などの旧英語圏でおこなわれればキルビー選手が勝ったかもしれませんが、ムエ(格闘技)ならなんでもムエタイ基準で判断するタイでおこなわれたためにスタム選手のヒザに歓声が上がり、新王者の誕生につながったのかもしれません。

 QRはもともと日本人が発明したキックボクシングには首相撲があったので、首相撲ありのルールが好きです。

 それに組みを否定するK1系ルールは、MMA全盛期の現在ではもう時代遅れ感がハンパなく、組んだり崩したりの技法のなかに打撃を織り込むムエタイ系立ち技のスタイルが再評価される時期に来ていると思います。

 そんなわけで、組みの出来ないキルビー選手よりも、組みも崩しも打撃も出来るスタム選手のほうが、MMAも手がけ、アジアに拠点を置く、ONEという団体にはふさわしい新王者ではないでしょうか。

 この王者のファイトスタイルが、ONEのキックボクシングの標準スタイルとして残っていくなら面白いと思います。

ONE Super Series キックボクシング アトム級タイトルマッチ 3分5R
×王者 キルビー[チュアン・カイティン](台湾)
判定
○挑戦者 スタム[スタンプ・フェアテックス](タイ)
スタム選手が判定勝利でONE キックボクシングアトム級新王者となりました。

6 ตุลาคม 2561 กรุงเทพมหานครไทย
ONE Kickboxing อะตอมเวท
แสตมป์ แฟร์เท็กซ์ ชนะคะแนน ไค่ ถิง ฉวง

6th October 2018 Bangkok, Thai
Kickboxing 5x3m
Kai Ting "Kill Bee" Chuang (Taiwan / Champion)
vs
Stamp Fairtex (Thai / Challenger)
Winner Stamp Fairtex by unanimous decision.

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