観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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一般の格闘技ファンのための100の大事なことがら その22 外国との対戦を冷静に見ることは難しい 戦いのプロの軍人でも冷静な分析は出来ない

 お気に入りの選手が戦っている試合はドキドキして非常に興奮しますね。なかなか冷静には見られませんが、一般のファンにとって、冷静に見られなくても好きな選手が勝てばなんでもいい、というのは一つの真実です(笑)。

 しかし、善戦虚しく勝利が訪れなかった場合・・・結果がKOなどの明白なものなら納得するしかありませんが、微妙な判定で負けたりすると「え?そんなポイントなの?」「こっちの攻撃が過小評価じゃない?」と不満に思うことも多いです。

 お客さんは娯楽としてお金を払って見ているわけで「なんだよ、ヤオ判定かよ」と文句のひとつも言って終わりにしてもいいのですが、本当にその選手の次戦や、あとに続く選手のことを考える場合は、客観的な試合の分析はやっぱり必要でしょう。

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 試合の採点を意識しながら見るときの基本はどちらかの選手ばかりを見ないで、視点を両者の中間に置き、パンチやキックそのものを見るのが正しいとされています。

 これは知らない選手の動画などを見ながら練習すると何回かやるうちに誰でも身に付きます。そうなるとパンチやキックの命中率などを冷静に見ることが出来、だんだんポイントの判定も読めるようになります。

 しかし、それでもやっぱり、日本人選手と外国人選手が戦っている場合などは、どうしても冷静さを無くして日本側をひいきしてしまいますね。

 野球やサッカーの国際戦でもかなりの熱狂が生まれますが、格闘技の場合は直接的に相手と打ったり蹴ったりという種目ですから、さらに思い入れは大きくなり、冷静に見ることはとても困難になるんです。

 格闘技よりもさらにドギツイ話ですが、戦争で自軍が勝っているのか負けているのかという判断は、プロの軍人さんでもかなり難しいことのようです。軍人さんも人間ですので、自分の部下が死んだり傷ついたりする戦闘では、相手にはもっと多くの被害があったはずと考えてしまうということですね。

 第二次大戦後、アメリカ軍と日本軍の両方の戦果記録を相手の被害記録と比較し、それがどのくらい正確だったか調べたという話があります。

 その結果は、どちらの戦果報告も実際の被害の4~5倍。両軍ともにあまり冷静な判断は出来てなかったんですね。

 その、戦果誤認のもっともひどい例が大戦末期の『台湾沖航空戦』でした。この戦いで日本の海軍は航空戦力のほぼすべてを失う大損害を受けましたが、相手にはもっと損害を与えたはずと思い込み『アメリカの空母はほとんど全滅』と発表しちゃったのです。

 空母が全滅ということは、そこに積んであった飛行機も一緒に沈むか海に不時着して全部失われたということです。

 アメリカの飛行機に苦戦していた日本の陸軍は、この発表を信じて「海軍がアメリカ機をやっつけてくれた今こそ反撃のチャンスだ」と判断、フィリピンのアメリカ軍基地を襲ったところ、海軍の発表はまったくの誤報でアメリカの飛行機は大部分が健在、空を埋め尽くすほどのアメリカ機が日本陸軍に襲いかかり、数万人の部隊がほぼ全滅する悲劇となりました。

 このように「勝ったはず」「相手よりこっちが強かったはず」という思い込みは、つぎの戦いに良くない影響を残します

 外国で判定負けにされた試合は、本当にホームびいきのインチキ判定だったのか、自分のほうには足りない部分はなかったのか、ということをクールに判断しないと、次の試合も涙を飲むことになります。

 相手を見くびってはいけません。むこうだって必死なんです。

★戦いの勝ち負けの判断にはプロの軍人でも温情が入り込む。

★「本当は勝っていたはず」と言ってもなにも生まれない。

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