2015年08月28日

一般の格闘技ファンのための100の大事なことがら その1 選手のプロフィールは鵜呑みにしない

 いつもご愛読ありがとうございます。当ブログ『クイーン・オブ・ザ・リング』は一般の格闘技ファンであるわたしたちが、ふだん感じていること、思っていることをもとに、業界目線ではなく、関係者目線でもなく、単なるファン目線で立ち技格闘技についていろいろ書いているページです。

 ご存知のとおり、当ブログの更新状況は不安定で、先の見通しも立たないありさまですので、いまのうちに書くべきことは書いておこうということで、この『100の大事なことがら』というシリーズをはじめます。業界のひとや関係者さんでは書きにくいこと、書けないこと、しかし、ファンにとっては大事なことを書いていきますので、どうぞ、しばらくお付き合いください。

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 第1回の今回は『選手のプロフィールは鵜呑みにしない』です。

 ファンの立場からすると、選手は基本的にあこがれの存在です。自分とは違うナニカを持っているすごい人です。ですから、プロフィールに書いてある特別な経歴や、飛び抜けた戦績や、いろんな武勇伝は、あこがれの存在をさらにカラフルに彩る舞台装置に見えます。そして、その舞台装置がきらびやかであるほど『ここまで書くなら本当だろう』『どのライターも書いているから本当だろう』と思ってしまいます。

 しかし、それはたいていの場合、非凡なエピソードであればあるほど、本当ではない確率が高いのです。

 例えば現在公開されているある格闘家のプロフィールには『幼稚園に行く前の◇才から戦いはじめた』と書いてあります。そして、その選手の紹介文はどこに書いてあるものでもその部分は全部おなじです。

 しかし、QRは古い人間なのでおぼえています。インターネットが一般的になる前、そのひとが公開していた情報は『小学◆年生から始めた』でした。『幼稚園に行く前の◇才』なんて数年後になって、その人がだんだん有名になってから出て来た記述です。

 どうしてそんなことになったのかは分かりません。しかし、本人の自己申告なんてそんなものなんです。そして、それをなんの検証もなく、いろんな立派なメディアが事実として書いてしまうんです。

 これは、そのひと本人や関係者さんの問題というよりも、格闘技というスポーツの根っこの薄さの問題かなと思います。格闘技選手の情報や戦績管理の面に熱心なひとはあまりみかけませんし、格闘技メディアの体質として、正確な情報よりも派手で印象的な情報のほうが好きというのがあるように思います。それは日本の格闘技メディアが、もともとはプロレス報道から派生しているからかもしれません。

 ところが、格闘技のなかでは比較的長い歴史を持ちプロレスとはあんまり関係のないボクシングでも、事情はあまりかわらなかったりします。日本国内での戦績管理は厳密ですが、海外から日本に来るボクサーの信用出来る戦績記録というものは実は存在しないんですね。

 ですから、タイなどのボクシングにあまり熱心ではない国から適当に選手をつれてきて「○戦○勝」などと名乗らせ、その相手に「勝った」「KOした」と「立派な戦績」を作ることが出来るのです。

 『経歴』や『戦績』が信用出来ないのなら、ベルトやメダルなどの獲得をともなう『タイトル歴』なら信用出来るでしょうか?

 残念ながら、それも信用出来ません。これも実体は一般のひとの思うほど厳密なものではないからです。

 プロの場合は、ベルトはそれこそ星の数ほどあります。アマのメダルもそれと変わりません。その分野の専門家であればどのベルト、どのメダルが価値があるかはわかるでしょうが、一般のファンにはどれが価値があってどれが価値が低いのかは見当もつかないのです。

 ですから、プロの聞いたことのないようなベルトはハナっから無視するのが正解ですし、アマのメダルもあまり信用しすぎないほうが吉なのです。

 チャンピオンベルトなんて主催者さんが作ろうと思えば、総合格闘技はもちろん、ボクシングでも過疎団体の過疎階級を狙えば作れますし、キックやムエタイでもジムやプロモーターなどが勝手に世界だのアジアだの好きなように名前を付けたベルトを作ることに(良心さえ痛まなければ)障害はありません。ですから、名前だけのお手軽な世界王者も存在するんですね。

 それに対して、アマチュア大会は勝手に世界を名乗ることは出来ませんが、注意するべきは『世界大会』と『国際大会』の違いです。世界大会は文字通りに、世界の各地域からの代表を集めた大会なので、まず、規模が違います。ひとつの階級のひとつのメダルにも数十人のライバルがいて、それを打ち破らなくてはメダルは取れません。たとえ銅メダルであっても、簡単に取れるものではありません。ですから世界大会の好成績には本当の価値があります。

 しかし、『国際大会』は違います。自国以外の外国人が少しでも参加していたら、なんでも『国際大会』なのです。ある種目のある階級にエントリーしたのが二人だけの場合、たった一試合しか試合がなくても、それでも勝った選手は金メダルで、負けた選手は銀メダルです。

 というわけで、世界大会と国際大会は厳密に区別しなければなりませんし、国際大会はその規模を確認しなくてはいけませんが、格闘技のライターさんでこのあたりを明確にしている人はほとんどいませんし、わざとゴチャゴチャにしている人もいます。だれが書いたかわからないウィキペディアなどではさらにゴチャゴチャになっています。

 これで、選手のプロフィールを鵜呑みに出来ないことがおわかりでしょう。そこに悪意があるかどうかは別として、多くの場合はメディアに流れるプロフィールには不正確な情報が大量に含まれていて、あなたの目を曇らせるのです。

 肩書きや、武勇伝や、タイトルでもメダルでもなくて、重要なのは、誰と戦ったか、どんな試合をしたか、です。強い相手と本当の勝負をしているのか、です。

 ファンタジーや作り事や数字だけの記録に意味はありません。

 会場で観戦したり、動画で見たりして、あなたが良いと思った選手が良い選手なのです。

 この業界から、ファンタジーをすべて排除することは無理でしょうし、そのようにしろとも言いません。

 しかし、QRはどこかの誰かが思いついた安っぽいファンタジーではなく、本物の選手だけが本物の試合のなかで作り上げることが出来るリアルな感動のほうが好きなのです。何万倍も。比較にならないくらい。

queensofthering at 20:00│Comments(0)一般の格闘技ファンのための100の大事なことがら │ このBlogのトップへ前の記事次の記事

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