観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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本当の勇者は戦争になんか行かない モハメド・アリ、ブルース・リーが示した道

 なんだか最近キナ臭いですね。

 テレビでもネットでも、軍備がどうの、防衛がどうの、と勇ましい話ですが、遠い昔は別として、現代においては真の勇者は戦争なんかには行かないものです。

 ブルース・リーさんの奥さんのリンダ・リーさんは、かつてこう言いました。

「アメリカがベトナム戦争に負けたのは当然のことです。だってアメリカの一番強いふたりが戦争にいかなかったんですもの。」

 一番強いふたりというのはモハメド・アリさんとブルース・リーさんですね。このふたりはQRのヒーローであり、心の師。

 いくら格闘技で最強のふたりと言っても兵器の前には無力ですから、リンダさんは冗談で言ってるわけですが、半分は本気でしょう。ベトナム戦争当時はブルース・リーさんはまったく無名の武術家でしたから別としても、スーパースターのモハメド・アリさんの徴兵拒否はアメリカ軍には大きな痛手だったのは事実です。

 1967年、無敗の世界チャンピオンのモハメド・アリさんはボクサーとしての絶頂期だった24才の時にベトナム戦争のために徴兵命令を受けます。しかし「おれはベトコン(北ベトナム)にうらみはねえ」と言って徴兵を拒否。

 スーパースターが入隊してくれれば士気も上がり、軍の人気も上がると見ていたアメリカ軍当局にとっては、逆に拒否されたことは大ショック。

 モハメド・アリさんは国民の義務を怠ったとして裁判で有罪とされ、チャンピオンベルトもボクシングライセンスも剥奪、人気プロ選手から無職の一般人の立場に追いやられます。

 収入がなくなったうえに裁判費用に大金を費やす苦しい毎日でしたが、彼は戦争反対の信念を曲げずに戦い続け、ついに4年後には最高裁判所で無罪に。

 しかし、一度取り上げられた世界王座は他人の手にあり、ライバルとの死闘を生き残って王座を取り戻したときはすでに7年の歳月が流れ、モハメド・アリ選手は30代になっていました。戦争さえなければ、彼は20代の後半もへヴィー級王者としてリングに君臨し、数多くの名勝負を作っていたはずでした。

 もしも彼が徴兵に応じていたとしても、軍は人気スターの彼を安全な部署に配属し、勲章のひとつも与え、国民の義務を果たしたヒーローとして2年程度でリングに凱旋となっていたでしょう。

 そういう楽な道を選ばずに、犯罪者、卑怯者、非国民と呼ばれ、裁判費用に大金を失いながらも戦争反対の道を歩いた彼は本当に、本当に、立派な人だと思います。

 一方、ブルース・リーさんはお父さんもお母さんも中国人ですが、彼自身はアメリカ生まれでアメリカに暮らしていたので彼のもとへも徴兵令状が届きました。

 訓練キャンプに招集された彼は、家畜でも扱うような調子で怒鳴り散らす教官に「今度おれにそんな口のきき方をしたらお前の背骨をブチ折ってやるぞ!」と逆に怒鳴り返し、その剣幕にびびった教官は彼を軍務不適格としてキャンプから排除、リーさんはベトナム行きをまぬがれたのです。

 スーパースターのモハメド・アリさんは、自身の知名度と財力で裁判を争うことが出来ましたが、無名のアジア人武道家のリーさんにはそのようなことは無理。そこで彼は彼らしいやり方で徴兵と戦ったのです。

 真の勇者ふたりがそれぞれのやり方で徴兵をはね飛ばしている事実。どちらがいいとかいう問題ではなく、これはどちらもありだと思います。どちらにせよ、ふたりが本当に人として強かったから出来たことでしょう。

 国を守るためには外国と戦うのが当然と言う人もいますが、よく考えてみてください。現代の戦争にゲームオーバーはありません。一方が完全につぶれるまで、あきらめるまで、戦争は続くのです。

 朝鮮戦争はいまだに終戦を迎えず休戦となったまま。2010年には韓国の船が魚雷で沈められて40数人が亡くなっています。イスラエル周辺は数十年前からの激しい争いがきょうも続き、イラクにも平和な日は遠い状態。

 これが現代の戦争です。一度始まった武力対武力の争いは終わらないのです。

 戦えば戦うほど国は弱くなります。何もなくなるまで戦争は続くのです。日本は1945年にそれを学びました。

 戦争で得をするのは軍に関連する産業だけです。

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コメント

  1. 匿名 より:

    素晴らしい記事だと思います。本当の強さを持つ人間こそ、暴力というものの行き着く先は知っているはずです。
    怒りと憎悪に支配された人間が、暴力によってまた怒りと憎悪を煽って、それが繰り返された後には荒野しか残りません。
    いたずらに戦争と殺しを煽る連中は、真の暴力の恐ろしさを知らないのでしょう。
    そういう人間こそ、心は最も弱いのです。

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