2012年07月20日

至高の対決! 天海ツナミ vs 山口直子 WBAスーパーフライ級タイトルマッチ 詳細 ボクシング女子

 Boxing


2012年7月9日(月) 東京 後楽園ホール
白井義男世界タイトル獲得60周年記念 ザ・カンムリワシ・ファイトvol.42

WBAスーパーフライ級タイトルマッチ 10回戦
王者 天海ツナミ(アルファ)
VS
挑戦者 山口直子(白井具志堅)

天海ツナミ選手
 日本ボクシング史上最良の女子ボクサーと言われ、指名試合さえ組めないほどに海外選手から避けられている世界チャンピオンの天海ツナミ選手。

山口直子選手
 そんな彼女に久々にあらわれた挑戦者はかつては同じ山木ジム(現アルファジム)に属していた旧知の山口直子選手。こちらはコンパクトな強打でKOの山を築くアジア最強のハードパンチャー。すれ違いざまのショートパンチで相手を倒すその一撃は凄まじいの一言。

 このふたりの対戦は世界のどんなリングでおこなわれても大きな評価を得るであろう日本ボクシング女子最高のカードです。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 第1ラウンド 前後左右に高速移動し、相手を手玉に取るような動きのツナミワールドが最初から全開。いつもはスロースターター気味の山口選手ですが、この日は動く標的に一撃を加えようとガンガン前に出て行きます。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 しかしその拳は宙を切り、空振りをした直後をチャンピオンに狙われてしまいます。コーナーからは「あせるな!まだ行くな!」の指示。

 一方的な有効打で、あきらかにツナミ選手のラウンド。

天海ツナミ vs 山口直子
 第2ラウンド 相変わらず良く動くツナミ選手。山口選手は最短距離で追いながら速い打撃を心がけていますが、それさえかわしてしまうツナミ選手のディフェンスワーク。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 この時点ですでに腫れはじめている山口選手の顔面。

天海ツナミ vs 山口直子
 中盤にきれいなフックを当てたツナミ選手が終了間際にもクリーンヒットを見せ、ポイントを重ねます。

天海ツナミ vs 山口直子
 右拳を突き上げながらコーナーに帰るツナミ選手。

天海ツナミ vs 山口直子
 第3ラウンド ツナミ選手が左右のストレートを当てて順調に試合を進めます。

天海ツナミ vs 山口直子
 山口選手はかなり初速の速い連打を仕掛けますが、ツナミ選手のギリでかわすディフェンスに手を焼く状態。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 第4ラウンド この回の主役はツナミ選手の左。さまざまなタイミングからの左をダブル、トリプルとヒットさせ、有効打をどんどん積み上げるツナミ選手。

天海ツナミ vs 山口直子
 第5ラウンド この回も軽快なボクシングを続ける王者ツナミ選手。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 チャンピオンはこれまでよりもサイドステップの幅を狭め、最小限の動きでパンチをかわし、その分、攻撃の手数を増やしているのがこのラウンドの特徴。

 ここまでの流れは完全にツナミ選手。「山口の強打か、ツナミの連打かで見方が割れ」などという要素はゼロ。王者ツナミ選手はほぼ全ラウンドで印象的なパンチを放ち、ワンサイドゲームと言うべき展開を見せています。

天海ツナミ vs 山口直子
 第6ラウンド この回もなるべく相手の近くにいてさらに攻勢に出ようとするツナミ選手。しかし、王者の動きに慣れてきたのか山口選手の左もヒットしはじめ試合は佳境に入ります。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 当たればダメージ絶大の強打を鋭く打ち出す挑戦者、華麗なステップとボディーワークでこれをかわしつつ死角からシャープショットを突き刺すチャンピオン。

天海ツナミ vs 山口直子
 ここまでハイレベルでスリリングな試合は、たとえメキシコやアルゼンチンのリングでもそうそう見られるものではありません。沸き上がる大歓声、リングに釘付けとなる観客。最高の試合の時にのみ感じる「あの空気」が後楽園ホールを包みます。これぞボクシング。

天海ツナミ vs 山口直子
 第7ラウンド まったく動きが落ちない王者ツナミ選手。静止する瞬間が1秒と続くことは無く、常に手と足のどちらか、あるいは両方が動いている非常にアクティブなボクシング。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 そのツナミ選手の高速連打が冴えます。よく伸びる右がヒット。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 前に出て来るしかない挑戦者にさらに左も当たります。見事なカウンター。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 一方的な展開でしたが、ラスト10秒でようやく山口選手が強力なストレートを当てて一矢を報います。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 第8ラウンド チャレンジャー山口選手がとうとう本領を発揮。ラウンド開始からより密度を増した連打を仕掛けて上下を打ち分けるとついにツナミ選手後退。試合の流れが変わるかと見えましたが、山口選手にローブローの注意が入ってこの進撃はいったんブレイク。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 残り30秒ぐらいから激しい打ち合いが勃発。高速のショートコンビネーションで山口選手が打ち勝ちます。素晴らしい打撃戦。

天海ツナミ vs 山口直子
 宙を飛ぶように駆けて山口選手が執念の右。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 第9ラウンド 多少からだが前に泳いでも強引に仕掛けていく山口選手。迎撃か離脱かの判断の刹那さえ与えず、すさまじい勢いで突進するチャレンジャーが、乱打戦に持ち込むことに成功。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 体ごと押し込むようなパワフルな連打の中、ついに山口選手がツナミ選手のアゴをハネ上げます。

天海ツナミ vs 山口直子
 この回は不利と見た王者は距離を取って防戦。山口選手が残された時間でKOを奪えるか?いよいよ終盤になって波乱の目が出てきたこの試合。勝負の行方は最終ラウンドに持ち越されます。

天海ツナミ vs 山口直子

天海ツナミ vs 山口直子
 第10ラウンド ゴング直後から手を出したのはチャンピオン。ジャブを突きながらフットワークで右へ左へと動く軽快なボクシング。まるで第1ラウンドに戻ったかのような展開です。

天海ツナミ vs 山口直子
 前のラウンドのピンチから完全に立て直したツナミ選手が断続的に有効打を決めます。

天海ツナミ vs 山口直子
 激しく追いすがる山口選手の前から、さすがに最後の20秒間は明らかに逃げたものの、このラウンドもツナミ選手のものだったでしょう。

 日本を代表する名王者ツナミ選手の卓抜した技術と勇気、試合運びの巧みさ、それをあわや終盤にひっくり返すかと思わせた山口選手の並外れた戦闘力が、最後まで勝敗への興味を持続させ、極上のスリルをファンと分かち合った最高の試合でした。

天海ツナミ vs 山口直子

世界王者山口直子選手
 結局、終盤の波乱は発生せず、判定はツナミ選手の勝利と思われましたが、公式ジャッジの出した結論は山口選手のまさかの大差判定勝利。唖然とする赤コーナー、レフリーに手を挙げられるのも振り切って互いに駆け寄り歓喜する山口選手陣営。

 山口選手は我が国が誇る屈指のハードヒッターで、試合を組み立てる力もあり、世界のベルトを巻ける存在であることにまったく異論はありませんが、それはこの試合ではないでしょう。この試合ではハッキリとツナミ選手がベルトを守っていました。理想に近い防衛戦とさえ言える内容でした。それでこの採点とは... 。

 別の記事でも書きましたが、ジャッジには採点を自由に出来る権限はありません。許されているのは規定の基準に従っての採点のみです。規定とはあくまで有効打第一で、その視点が失われたらそれはもうボクシングではありません。

 先日のパッキャオ vs ブラッドリー戦でも有効打にまさるパッキャオ選手のほうが僅差で負けになる判定がくだされ「こんな判定はナンセンス」と大問題になりましたが、この天海ツナミ vs 山口直子戦はそれ以上に有効打で差を付けていたツナミ選手が大差での負けになるという異常判定

 ジャッジは神聖と言う人もいますが、人間なのだから絶対はありません。

 選手は試合で倒されると一定期間サスペンド(資格停止)になって試合に出られませんが、どんな誤審をしてもジャッジがサスペンドを受けることはほとんどありません。ちゃんとそういう制度が機能し、再教育などがおこなわれるべきだと思います。

 ジャッジは神様ではないのですよ。

WBAスーパーフライ級タイトルマッチ 10回戦
×王者 天海ツナミ(アルファ)
判定 0−3
○挑戦者 山口直子(白井具志堅)
山口直子選手がユナニマスデシジョンで勝利し、新チャンピオンに。
(94−97、93−97、93−97)

ジャッジ
 浅尾和信(あさおかずのぶ 日本)
 ビニー・マーチン(びにーまーちん 日本)
 島川威(しまかわたけし 日本)

 この結果、両選手の戦績は以下のようになります。
天海ツナミ てんかいつなみ(アルファ)22戦18勝4敗7KO
山口直子 やまぐちなおこ(白井具志堅)26戦20勝3敗3分17KO
(戦績はJBC公認以前からの通算)

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この記事へのコメント

1. Posted by 次元   2012年07月21日 17:54
ジャッジにも年齢制限が必要かもな。
2. Posted by SZK   2012年07月21日 23:49
テレビ見ましたが解説といい実況といい色々ひどいですね。
3. Posted by 次元   2012年07月21日 23:57
まあ、あの顔ぶれだから。
4. Posted by いっちゃん   2012年07月22日 10:12
目の前のことと全然違う話を出来るひとたちにアゼン。。。音消し推薦です。。。
5. Posted by queens of the ring   2012年07月22日 11:39
みなさんコメントありがとうございます。
>SZKさん 実況や解説の人は判定の基準が有効打であることをしっかりと頭に入れて話すべきですよね。「いまのはガードの上からでしたがすごいパンチでした」などというのは視聴者をミスリードする悪い実況です。ガードされてるのは有効打ではないですからね。
>次元さん ジャッジは70才定年になっていると思います。
6. Posted by A   2012年07月22日 21:29
テレビで観て採点してみましたが、96−94で山口選手の勝ちに見えました。
ツナミ選手は山口選手に動かされていて、動きも大きすぎるし、
むしろ山口選手の方がコンパクトなよけ方でパンチを殺していました。
パンチを食ってもまるで意に介さずケロッとしていました。
威力が無かったんでしょうね。
極端にいえばツナミ選手は、まず逃げありきで、それでここの皆様が思うほど採点に結びついていないのでは?
私の意見では、後半のツナミ選手のボクシングでは勝てないと思います。
初めてテレビで観て、ここで言われていた事に逆にビックリしました。
7. Posted by queens of the ring   2012年07月22日 21:53
>Aさん
コメントありがとうございます。ファンはだれでも自由な見方をしていいと思いますし、そうであるべきだと思います。
でもジャッジの基準はラウンドごとの有効打なので、逃げありきでも、正面突撃でも、いいパンチを多くのラウンドでより多く当てたほうが勝ちです。
スタイルはどんなものでも採点には本来は関係ないです。
もちろん、ツナミ選手と山口選手を合わせたような選手がいれば地上最強となるわけですけど... もしかしたらこれからどちらかがそうなるかもしれませんね。両選手に期待しています。
8. Posted by kaz   2013年08月14日 22:59
初めて投稿させていただきます
すごい遅い投稿ですが、
この試合会場で見ていて、主催の具志堅ジムの肩をもったかのような判定に怒りでした。とても嫌になりました。この試合以来女子ボクシングは会場に見に行ってません。
似た感想を持った方がいないかとネットをさまよっていて、この記事に出会えてとてもよかったです。すこしスッキリしました。

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