2011年07月16日

地元判定でジャッジ全員が活動停止処分 ボクシング

boxing

2011年7月9日(土)アメリカ ニュージャージー州

WBC級ライトミドル級挑戦者決定戦12回戦
ポール・ウィリアムス(アメリカ)
判定2−0
×エリスランディ・ララ(キューバ)

 7月9日にアメリカでおこなわれたボクシング男子WBCライトミドル級タイトル挑戦者決定戦で見ていたファンのほとんどが「おかしい」「勝者が逆」「ひどい地元判定」とあきれる判定がおこなわれ問題になっていますが、実はこの試合は当初はララ選手ではなくて石田順裕選手(金沢ジム)が出場予定だったので日本のファンにとっても他人事ではありません。


 上の動画はこの試合の全ラウンドが終了していよいよ判定という部分。画面に表示されている放送席の採点は111ー117でララ選手の勝利ですが、実際に出された判定は116−114、115−114、114−114でウィリアムス選手の勝利。観客席からブーイングが起こります。

 判定の直後に番組ではパンチのヒット数、命中率、強打の命中率などのすべてでララ選手が上回っているという事実をデータで示し「この判定は馬鹿げてる(it's a joke)」とアナウンサーが断言。

 これが日本なら「ボクシングの見方はいろいろある」「近くで見ていたジャッジの判断を尊重するべき」「判定の専門家を信じたほうが間違いが無い」などの声がどこからともなく聞こえて来て結局ウヤムヤで終わることになるのでしょうが、この試合では地元のアスレチック会議(アスレチックコミッション)が調査に乗り出し、ジャッジ3人全員を無期限のライセンス停止と再教育という処分を下しました(しかし、明らかな不正などは認められなかったとして試合結果には変更は無し。かわりに再戦が認められるようです)。

 ボクシングに地元判定、疑惑判定と言われるようなものは無いのが一番ですが、その次に大事なことは、そういう疑いが発生した時に組織が健全に対処出来ることです。そういう意味ではアメリカのアスレチックコミッション制度はやはり一歩進んでいるようです。

 今回は試合結果の変更はありませんでしたが、場合によっては結果が無効試合になることもあります。判定を決定出来るのはジャッジのスコアだけなので後日に勝者が逆転などの裁定変更はむずかしいとしても、ジャッジやレフリーの判断に誤りがあった場合は無効試合(ノーコンテスト)にすることはコミッション権限として認められています。

 日本では判定疑惑の試合があると「ボクシングではいったん出された裁定は変更されない」とか「レフリーやジャッジがミスをしても無効試合にならない」などと発言して議論に水を差す人もいるようですが、それは誤りで、過去に一度くだされた裁定が後日無効試合に変更された事例は日本にもありますし、ミスをしたレフリー、ジャッジへの処分もJBCさんの権限で可能です。

 ただし、そういう権限をJBCさんが行使した事例は非常に少ないので、日本ではボクシングファンの中でさえジャッジ、レフリー、コミッションがきちんと機能しているという信用度はかなり低いと言わざるを得ません。

 そんな現実の一方では、何かの思惑があると思われる関係者さんや、テレビしか見ていないであろう実態を知らないファンの一部から「日本のボクシングはジャッジやレフリングや試合の管理がきちんと確立されていて他の格闘技とは比較にならないくらい素晴らしいスポーツ」などという都市伝説のような話がいまでも聞こえて来ることがあります。

 けれども、ボクシングファンが試合会場で見せられる事実はまったく違い、東京でも地方でも変な判定、変な挙動のレフリーは当たり前。たびたび会場に行く熱心なボクシングファンほどそういう場面を数多く見せられているのではないでしょうか。客席で「勝ったほうのジムは大手だから」「勝った選手は主催者側だから」というファンの会話が聞こえて来るのは珍しいことではなく、事実はどうあれファンでさえそのような印象を持っているのが日本のボクシング界なのです。

 こういう話になると「KOで勝つのがボクシングであって判定はそれほど重要ではない」と極端なことを言い出す人もいます。たしかにKOなら勝った負けたは誰でもわかるでしょう。しかし、KOにもピンからキリまであって全部が全部いいKOとは限りません。

 ボクシングは、どつき合いのKOショーではありませんので、低レベルの偶然性に頼ったKOよりは高度な技術や駆け引きを駆使した判定勝ちのほうが、ボクシング的には何倍も何十倍も価値があるのです。ですから、きちんとした判定環境は高度なボクシングへの下地として欠かせないもので、決して軽視するべきではありません。

 「KOが出来れば判定はいらない」「レフリーやジャッジは絶対」「レフリーやジャッジへの批判はタブー」そんな前時代的な思考停止の人が少しずつ減り、もっと健全な意見の交換が出来るようになった時に日本のボクシングはもう一歩先に進めるようになると思います。

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queensofthering at 15:45│Comments(1) このBlogのトップへ前の記事次の記事

この記事へのコメント

1. Posted by 次元   2011年07月16日 23:05
おかしい判定があったとしてその後どうするかがそのままスポーツとしての信用になってくると思う。
日本ではジャッジにギャラ払うのは主催ジムというのが問題だよねえ。

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