2011年01月25日

ヒジ打ちありを考える 女子ムエタイ

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 ムエタイの必殺技ヒジ打ち。ヒジの先端部を顔面に打ち込む技。

 体幹からのパワーをムダ無く伝えるシンプルなムーブで一発KOが可能。倒すまで行かなくても骨と骨がぶつかりあう痛みは強烈。さらにこの技ならではの特徴は、相手の顔面を切れること。

 ボクシングや総合などのパンチでもカットはありますが、この場合は裂けたような傷口であるのに対し、ヒジでの傷は刃物でスパッと切られたようになる場合が多く、お医者さんが見てもナイフ傷と区別がつかないこともあるそうです。

 顔面をカットされると多くの場合そのままTKOにつながりますし、いったん傷が閉じても後日の試合で再びその付近が切れる可能性も高く、選手にとっては避けたいところ。

 日本では多くの格闘技で女子に限らずヒジ打ち禁止になっているのは、そうした理由からでしょう。しかし、一歩海外に出て、ムエタイと戦う場合はそんなことも言っていられません。

 超人的な戦闘力でキックの鬼姫と恐れられた早千予(さちよ)選手は、「ヒジは痛いから嫌い」と言いながらも海外のヒジありフル・ルールで圧倒的な勝ち星をあげて日本女子キックの地位を高めた選手です。
早千予 vs イロンカ・エルモント 3〜5ラウンド

 早千予選手がオランダムエタイ軽量級の絶対王者イロンカ・エルモント選手と激突した試合では、キック、ヒザ、パンチで優位に戦う早千予選手に対し、意地でも負けられないエルモント選手は最終ラウンドはひたすらヒジ乱打での逆転KO狙い。しかし、早千予選手はこの攻撃に少しもひるまずに徹底的に前進してタイトル戦勝利。2005年のことでした。

 かつてのタイの伝統的な価値観では序盤から中盤にかけてキック、ヒザ、パンチで劣勢となった選手が、一発逆転の希望をかけて第4ラウンド、第5ラウンドで繰り出すのがヒジ打ちとされていて、最初からヒジ打ちばかりを狙うことはありませんでした。あくまでもキックと首相撲で見せ場を作るのが正統的なムエタイなんですね。

 しかし、ムエタイが世界に広がるにつれてキックよりもパンチを主体としたり、最初からヒジを狙う外国人選手も多くなり、いまはいろんなスタイルの選手がいます。

 ヒジありの試合の方がヒジ無しの試合よりも価値が上だとは思いません。しかし、ムエタイと戦う場合は、ヒジへの対応は避けては通れない道。それは確かな現実です。

 QRとしては、日本人同士がつねにヒジで切り合って負傷者が絶えないような状態は望みません。しかし相手が切りにきたら切り返す、いつでも切ろうと思えば切れるんだよという凄み、それらはトッププロの要件だと思うのです。

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queensofthering at 16:00│Comments(0)リングの基礎知識 | 選手:早千予 このBlogのトップへ前の記事次の記事

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