2010年09月15日

凄惨過ぎるタイトルマッチ キム・ジュヒ vs ジュジース・ナガワ 女子ボクシング

boxing

キム・ジュヒ vs ジュジース・ナガワ2010年9月12日(日)韓国 京畿道 アニャン市

WIBA/WIBF/GBU/WBFライトフライ級タイトルマッチ
3団体王者 キム・ジュヒ(韓国)
VS
挑戦者 ジュジース・ナガワ(フィリピン)

 何度も何度も延期になっていたキム・ジュヒ選手のタイトル防衛戦が、9月12日に韓国アニャン市でおこなわれました。当初はキム・ジュヒ選手が保持する3つのベルトの防衛戦とされていましたが、空位のWBFの王座決定戦にも認定され、この試合には合計4団体のベルトがかけられました。

 本来なら4本の世界のベルトの争奪戦というと大変なイベントになるわけですが、キム・ジュヒ選手は過去3年間に3回しか試合をしていないセミリタイア状態の選手ですから注目度は低く、世界的な権威もほとんどありません。

 対戦相手のジュジース・ナガワ選手もこの試合の挑戦者に選ばれた当時は2連続TKOの連敗街道の真ん中にいて、とても世界タイトルになど手が届きそうもない選手。つまり、最初からこのカードはキム・ジュヒ選手に勝たせるために組まれたようなものだったのです。

 しかし、女子三日会わざれば刮目して見よ(女の子は日々鍛練をして三日もすれば、見違えるほど成長するものだから注意して見なければいけないという女子ボクシング用語)で、挑戦者のナガワ選手は8月に花形冴美選手を相手に3ー0の大差判定で勝利。

 この結果に自信をつけたのか、キム・ジュヒ選手との試合では見違えるような戦闘力を発揮しました。

 それでは、キム・ジュヒ対ジュジース・ナガワ1〜5ラウンドの動画をご覧ください。



 ご覧のようになかなかの好勝負になっています。二人とも小細工無しの真っ向勝負で堂々としたボクシング。しかし、ディフェンス面ではかなり甘く、特にキム・ジュヒ選手の無防備な被弾が危ない感じ。

 そして、試合はこのあと実に凄惨なことになっていきます。見ると気分が悪くなる人もいるでしょうから、直接動画は貼りません。多少のことでは大丈夫な人だけ以下のリンクからご覧ください。

キム・ジュヒ対ジュジース・ナガワ6〜9ラウンド

キム・ジュヒ対ジュジース・ナガワ10ラウンド


 動画では6ラウンドぐらいからキム・ジュヒ選手の鼻血がひどく、さらに左顔面が腫れ上がり、7ラウンドぐらいには完全に左目が塞がっています。

 鼻血のひどさは鼻骨骨折の疑いがあります。片目が塞がったことは視界が狭まって遠近感も無くなった状態を意味します。これでは相手のパンチが避けられません。

 パンチを当てることと避けることで成り立つのがボクシングという競技。避ける能力がなくなったことはボクシングを出来なくなったことと同じです。

 このまま続行することはもはや単なる残酷ショーであり、スポーツでもなんでもありません。野蛮なガマン大会です。

 この負傷はバッティングではなく正当なパンチ攻撃の結果ですから通常のボクシングならここで負傷者のTKO負け。しかし、試合は止まりません。

 ジュジース・ナガワ選手は負傷箇所を打ちたくないのか終盤は右ストレートをひかえているように見えます。しかし、会場は驚くほどに顔面が変形したキム・ジュヒ選手に対して観客も来賓もキム・ジュヒ・コールで続行をうながすという異常な状態。

 問題は見た目の残酷さや、鼻血や顔面の腫れではなくて、命に関わる根本的な部分です。

 骨折している人や視界が塞がっている人にボクシングをやらせてもいいなら、事前の健康診断も視力検査もまったく無意味です。命よりも大事なものはありません。パンチを見えなくなった人に試合を続行させるリングは生命軽視の無法地帯。こんなものはボクシングではありません。

 韓国では7月17日のキム・ヒョミン VS 水谷智佳のWBA暫定王座戦のアンダーカードで男子選手がひとり亡くなったばかりのはず。
 
 このテレビ放送を見た韓国の人々から「どうしてそこまでして続行させるのか?タオルやTKOはなぜ機能しないのか?」という声があがっていますがQRも同感です。

 世界チャンピオンを6人育てたエディ・タウンゼントさんは言いました。「選手はボクシングをやめるときが人生の第二のスタート。そのときにちゃんと健康な体で返してやるのがボクたちの仕事」。エディさんがこの試合にいたら絶対にタオルを投げたでしょう。

WIBA/WIBF/GBU/WBFライトフライ級タイトルマッチ
○3団体王者 キム・ジュヒ(韓国)
2−0
×挑戦者 ジュジース・ナガワ(フィリピン)
キム・ジュヒ選手がマジョリティー・デシジョンで勝利。
(95−95、99−92、97−95)

 この結果、両者の戦績は以下のようになります。

WIBAライトフライ級スーパー王者/WIBF/GBU/WBFライトフライ級王者
キム・ジュヒ(韓国) 17戦15勝1敗1分6KO

ジュジース・ナガワ(フィリピン)15戦6勝8敗1分2KO
〔情報提供:ゆめさま〕

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queensofthering at 21:30│Comments(4)ボクシングの試合:2010.7〜9 │ このBlogのトップへ前の記事次の記事

この記事へのコメント

1. Posted by H・F   2010年09月17日 03:57
普通なら左目塞がった時点でレフリーが試合止めるべきか、セコンドがタオル投入するべきですよ。また、セコンドも選手の事をどう思ってるか疑問ですよ。ボクサーの中には試合の後遺症が原因で、引退後に身障者になってる人もいますから。レフリーにセコンドは選手の事をキチンと思うべきですよ。
2. Posted by ito   2010年09月17日 11:41
これはだめだよ...見た感じ客もいないようだけどこんなことばかりやってるから人気無いんだと思う。いまどき韓国でも日本でも根性主義のださいボクシングなんてはやらないんだよ。ダメージで負けてるのに根性で押し切れば勝ちになる無茶苦茶な競技なんて誰が見るか。
3. Posted by ミー   2010年09月18日 01:01
キムジュヒ選手の腫れた顔の写真をおもしろ半分に貼って「こんな娘の顔を見たらお母さんはどう思うか」などと書いている日本のブログがありますが、キムジュヒ選手にはお母さんはいませんし、問題は顔が腫れるとかそういうことではありません。日本人ブロガーで女子ボクシングをネタ扱いする人は多いですよね。非常に腹が立ちます。
4. Posted by H・F   2010年09月19日 10:03
前回のコメント時は最終ラウンドしか見てなくて、今日改めて初回から見たのですが、2回のドクターチェックに関わらず試合続行した事に疑問です。2回目のドクターチェックの際左目は完全に塞がってたし、右目もいつ塞がってもおかしくない状況でした。このリングドクターは、果たしてボクシングに知識あるか疑問ですよ。そして、バランス崩してダウン寸前のシーンも2度ありました。レフリーもバランス崩し欠けた時点で試合止めるべきだったし、セコンドもタオル投入するべきでしたよ。勝つ事も確かに重要ですが、一番重要な事は選手の健康面ですから。ボクサー人生はほんの一握りで、引退後の人生が長いのですから。
5. Posted by queensofthering   2010年09月20日 13:38
いまのところキム・ジュヒ選手のケガが深刻な事態になったという情報はないのでひと安心ですが、韓国ではこの試合に批判が巻き起こっています。以下は韓国Yahoo!に掲載された記事(元記事はオーマイニュース)の抜粋です。
『ボクシングでは目の前での事故だけでなく引退後の選手健康を考えてより一層の注意が必要だ。

人気が低迷するボクシングは興行のためにスター選手が必要なことは事実だが、一部選手をプロテクトしようと不公正判定をしたり、最初から水準の低い対戦相手をつれてきたりするため、観衆はより一層背を向ける悪循環が重なっている。

だが、どんな名分や状況でも選手たちの安全が最優先視にならなければならない。劣悪な条件の中でも闘魂を燃やして極限の訓練を耐えるボクシング選手たちのことを考えるならばより一層そうであろう。

安全を守ることに粗雑にするならば観衆を失うだけでなく、選手まで失う共倒れの道を行くことになる。選手保護無しのボクシングには存在価値などないのだ。』

この指摘は日本のボクシング界にもそのまま当てはまると思います。
韓国の世論がとても正常で良かったなと思います。日本ではヒドい試合があっても大手のマスコミはスルーしますからね。

そのぶんファンが声を上げていくべきだと思います。

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