ShootBoxing
2008年9月12日(金) 後楽園ホール
SHOOTBOXING 2008
「Road to S-cup 火魂~たまし~ 其の伍」
51kg契約 スターティングクラスルール 2分3R
富田美里 とみたみさと(シーザージム) VS 藤井恵 ふじいめぐみ(AACC)
オーソドックスの富田選手に対し、サウスポースタイルから右を突いてくる藤井選手。打ち返そうとする富田選手を押し倒していいパンチを打たせません。
富田選手が立ち上がると、そこにタックルしてきた藤井選手がテイクダウン。タックル後に持ち上げて落とさなければ採点には反映されない行為だが、スタミナを消耗させ、相手の気持ちをゆさぶるには有効な動き。序盤にこういう技を出すことで、試合全体を撹乱しよう、という意図がうかがえます。
それでも富田選手は意に介さずに前に出続ける。藤井選手は下がりながらもパンチとキックを出し続け、富田選手のペースにはさせない。
富田選手の蹴り足を掴んだまま体を浴びせて押し倒す藤井選手。受け身の出来ない打撃オンリーの選手ならこれだけでも脅威でしょう。
富田選手の起き上がり際にバックに回ってチョークスリーパーを狙う藤井選手。倒れた選手が起き上がってファイトのコールがかかるまでは、シュートボクシングでは一切の技が禁止のはずですが、レフリーが仕切れていません。しかし、今後、シュートボクシングの選手は、総合系の選手とやる時には、ルールやレフリーには頼らず、このような事態が発生することも想定し、油断のないように戦うべきでしょう。
さらに組み合いからバックを取ろうとする藤井選手。スープレックス系を狙うような動き。バックからのスープレックス成功ならシュートポイント2が入る(注)ので、これだけは絶対に避けたい富田選手。腰を落としながらロックを切って脱出。
起き上がってリスタート、前に出続ける富田選手が右を藤井選手の顔面に当てたところで第1ラウンド終了。
2ラウンドも、蹴り足を掴んで押し倒しを仕掛ける藤井選手だが、足を掴まれながらも富田選手がパンチを出し続けるので、それほど深い押し倒しは出来なくなって来る。藤井選手は左ストレートをメインに手を出して来るが単発。
このラウンドは富田選手が二、三度パンチ連打で見せ場を作ることに成功。
3ラウンドになってようやく藤井選手が連打、そのまま組みに行って腰投げを仕掛ける。富田選手はこれを体を横にずらしながら防御し、シュートポイントを阻止。
立ち上がる富田選手にさらに組み付き、ボディーを打たれながらも投げを試みる藤井選手だが、これも富田選手は防御。
終盤はパンチの打ち合いのあとクリンチに来た藤井選手を富田選手がフロントチョークに捕える。これをレフリーが分け、パンチが交錯したところで試合終了。
判定は富田選手2、ドロー1の2ー0の判定で富田選手が難しい試合をなんとか制しました。藤井選手はこのルールの中で出来る限りの善戦と言えるでしょう。ローキックへの処置などを見ても、きちんと対応していました。富田選手にとっては粘る相手を振り切った経験が今後の糧となる一戦だったと思います。
富田美里(シーザージム)○ 判定2-0 ×藤井恵(AACC)
ジャッジの採点は以下の通り 30-28 30-30 30-29
(注)シュートポイントとは有効な投げ技に与えられるポイントのこと。相手を完全に宙に浮かせて、腰の高さ以上の位置から、柔道の一本のようにきれいに投げた場合に認められる。首投げ、腰投げ、背負い投げ、タックルから担ぎ上げての双手刈りなどで自分の前方に相手を投げた場合は1ポイント。裏投げ、バックドロップ、ジャーマンスープレックスなどで自分の後方に相手を投げた場合は2ポイントが入る。
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